元エンジニアPMのプロダクトマネージャーお役立ち情報

スタートアップから大規模プロダクトまで担当している元エンジニアの筆者が、事業開発・プロダクトマネジメントに役立つ情報を発信します

TAM・SAM・SOMとは?考え方や自社ビジネスに落とし込む時のコツを紹介

新規事業や投資家との会話で求められるTAM・SAM・SOM

社内で新しく事業を立ち上げる時や、スタートアップを始めて投資家と会話する際によく出てくるのがTAM / SAM / SOMになります。
簡単に言うとあなたが狙っているビジネス・プロダクトはどれくらいの市場規模があるのか?また将来的にどこまでの市場を狙えるのか?を表す時に使います。
筆者も今まで様々な場面でTAM・SAM・SOMを表現して会話をしてきました。今日は自社ビジネスに落とし込むときのコツを紹介していきます。

TAM・SAM・SOMとは?

TAM・SAM・SOMは、ビジネスにおいて重要なマーケット分析の手法であり、3つの略語で構成されます。

  • TAM (Total Available Market):あなたのビジネスがターゲットとする市場全体の規模を示します。
  • SAM (Serviceable Available Market):あなたのビジネスが実際に提供できる市場の規模を示します。
  • SOM (Serviceable Obtainable Market):あなたのビジネスが実際に獲得できる市場の規模を示します。

TAMは、あなたの製品やサービスが独占的に提供できる場合の市場規模を表します。SAMは、あなたの製品やサービスが提供可能な市場規模を表します。SOMは、あなたの製品やサービスが実際に獲得できる市場規模を表します。当たり前ですがTAM > SAM > SOMの順に規模が大きくなります。TAMは対象となるユーザー数を対象の全人口として計算するケースや、複数の市場にまたがってカウントするなどの計算をするため○○兆円や○○億円といった単位になることが普通です。

SaaSスタートアップのKAMINASHIさんの事例です。
TAMではノンデスクワーカー管理職全体を対象としており、SAMでは狙えるであろう対象社数全部、SOMは現実的なラインとして獲得できそうな単位で計算しています。 https://note.com/headline_asia/n/n71a52eb27d2c
このように表現することで、投資家や決済者からすると、今どこまで狙えるのか?長期的にどれくらいのリターンが見込めるのか?のイメージがしやすくなります。
TAM・SAM・SOMは、プロダクト開発だけではなくビジネス全般で使われます。メーカーなどの新商品開発でも応用することができます。

TAM・SAM・SOMを自社ビジネスへ落とし込むときの考え方

ウェブサービス系のプロダクトで考える場合

例としてAmazonで考えてみますが、AmazonのEC事業のTAM・SAM・SOMは以下のように考えることができます。

  • TAM: インターネット上での小売市場全体の規模
  • SAM: Amazonが提供できるインターネット上の小売市場の規模
  • SOM: Amazonが実際に獲得できるインターネット上の小売市場の規模

SOMの計算がわかりにくいですが、ここは実際のユーザー数や狙っているユーザーに置き換えることで計算できます。あなたが新しく20代に向けたサービスを提供する場合20代のファッション好き女性30%を狙うとすれば、SOMの対象は20代のファッション好き女性30%になります。

食品メーカーの新商品で考える場合

世界中の飲料市場規模が100億ドルだとします。 この場合TAMは100億ドルと仮定できます。もしくは飲料を飲む人口×飲料に落とす金額でも良いかもしれません。 全人口の60%がお金を払って飲料を飲む、その時の年間平均単価が3$であれば「人口の60%×3$」と計算することができます。
SAMは、あなたが実際に提供できる市場の規模を表す必要があります。あなたの飲料メーカーがアジア市場に焦点を当てている場合、アジア市場全体の規模が10億ドルだとすれば、SAMは10億ドルです。
その中であなたの飲料メーカーがアジア市場で1%のシェアを獲得することを目標にしている場合、その市場でのあなたのビジネスの規模は1000万ドルになります。これがSOMになります。

TAM・SAM・SOMを考える時に使えるツール

TAM・SAM・SOMは市場全体を見る必要があるため、様々なデータの活用をオススメします。 TAMは総務省や経済産業省が出している統計データを活用することも良いですし、シンクタンクが発表している市場規模のリサーチを利用すると良いです。 もしデータが存在しない場合は○○市場の何割などといった書き方をすることもあります。
SAM・SOMは実際のユーザー数や競合サービスから計算することも多いです。

各社がIR資料で発表しているTAM・SAM・SOM

TAM・SAM・SOMを自社ビジネスに落とし込めないときは、各社のIR資料からヒントを得ることもオススメします。各社いろんな考え方で計算をしているため非常に学びがあります。

- 台湾スマホ後払いAFTEEのケース

TAMとSOMを表現しています。TAMは台湾におけるEC市場規模 (2020e) ×非クレジットカード決済比率48% × 為替レートと計算していますね。
https://kabuyoho.jp/discloseDetail?rid=20220808514640&pid=140120220808514640

- freeeのケース

freeeは対象となるターゲット(従業員の数)× 自社課金体系で算出しています。 フリー[4478]:事業計画及び成長可能性に関する説明資料 2021年12月21日(適時開示) :日経会社情報DIGITAL:日本経済新聞