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【書評】みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」

こんにちは。@ikuo00ukです。

今回はSNSで話題になりAmazonでも売れ筋トップに躍り出ました「みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」」のレビューです。

ちなみに目次から涙無しには読めない、グッと来るものがあります。

 

みずほ銀行システム統合

 みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」

個人的な評価としては、第一章から第三章まである中で、第一章が非常に有意義でした。みずほのシステム開発の苦難の歴史に加え、当時の経営体制、経営者としてどうシステムに向き合うべきだったか?プロジェクトマネジメントで大事なことは何か?などは参考になる部分が有りSierやシステム開発に携わる人にはおすすめしたい一冊だなとおもいます。後半は当時の記録がメインなので知識としてのインプットに近いかなと。

 

読了時間 2時間程度
読みやすさ ★★★★

おすすめ度 ★★★

おすすめ読者 プロジェクトマネージャー プロダクトマネージャー エンジニア 経営者 

 

特にプロジェクトマネージャーの方にはおすすめしたい。日本でも類を見ない大規模なシステム統合プロジェクトを通じて、プロジェクトで何を大事にすべきか?のエッセンスを学ぶことが出来ます。

 

要約

みずほ銀行のシステム統合に関する記録と当時どう意思決定をしたか?プロジェクトの進め方や震災後のトラブルはなぜ起きたか?経営層はシステム統合に関してどう捉えていたのか?が語られています。

 

過去の大規模失敗を基に、業務フローをビジネスサイドに書かせる(システム的発想で業務フローを作らせない)ことや「AS IS(前回と同じママ)で良い」を禁じることで、「このシステムの本質は、何がやりたかったのか?」をちゃんと捉える重要性を学べます。ついつい前のままでいいやとか、あの人が言っているし、、みたいにシステムの要件を考え抜かないケースもあると思っているので、ちゃんと何がやりたいのか?を考え抜いて仕組みに落とすが結果的に近道なんだろうなと。

 

各種ベンダー、組織ごとに異なった言葉をちゃんと定義し用語集を作る。大規模移行はバッファ期間を設けて、フォールバック判断を余裕を持ってやる等、当たり前のように見えてつい抜け漏れがでがちなプロジェクト進行で大事だよな〜と。

 

経営層、ビジネスサイドとして心に留めておくことは、「システムはリリースと同時に陳腐化する」、「基幹システムの統合・移行は経営層がリスク・トラブルを含めてトップダウンで進めていくべき」こと。

 

おまけ

基幹システムは開発コストの割に経営にインパクトが出にくい部分なのでつい後回ししがちですが、みずほを見ていると企業としての信頼性を保つために決断が必要だなと。そこをちゃんと検討して、トップとして動ける経営者は果たして日本にどれくらいいるんだろうなと思った次第です。これからはビジネス側がテクノロジーを理解する以外にも、テクノロジーサイドがビジネスをリードしていけるチャンスなんじゃないかなと。